ダーツ移動とは?
なぜ形を変えてもフィットが保たれるの?
洋裁の原型では、肩や脇、ウエストなどに入っているダーツを、別の位置へ移すことができます。 線の形は大きく変わるのに、なぜ身体への立体感は失われないのでしょうか。 そのポイントは、「ダーツの位置」ではなく「立体を作るためにたたむ分量」にあります。
ダーツ移動とは
ダーツ移動とは、原型にあるダーツの分量を保ちながら、 ダーツの開く位置を別の場所へ移す操作です。
たとえば婦人身頃原型では、バストの立体を作るためのダーツを、 肩、脇、ウエスト、衿ぐりなどへ移すことができます。 見た目の線は変わりますが、立体を作るための基本的な分量を保てば、 身体に沿わせる働きそのものは残ります。
フィットを作るのは
ダーツの「分量」
平らな紙や布をそのまま身体に沿わせようとすると、 バストのような立体部分では余りやしわが生まれます。 そこで、その余分になる分量をダーツとしてたたむことで、 平面を立体へ近づけます。
この「たたむ分量」が、身体の丸みに沿わせるための立体量です。 ダーツを別の位置へ移しても、この分量が大きく変わらなければ、 原型が持つ基本的な立体量も保たれます。
見つける
ダーツとしてたたむ
身体の立体に近づく
閉じると、別の場所が開く仕組み
ダーツ移動では、バストポイント付近を回転の中心として考えます。 もとのダーツを閉じる方向へ原型を回転すると、 あらかじめ切り込みを入れた別の位置がその分だけ開きます。
つまり、ダーツそのものが消えるのではなく、 「ここで閉じていた分量が、別の場所へ移った」と考えると分かりやすくなります。
切り込み線を入れる
閉じる
同じ立体分量が開く
移動しても変わらないもの
ダーツ移動を正しく行った場合、基本的に保ちたいのは、 身体を包むための立体量です。
たとえば、肩ダーツを閉じて脇へ移動した場合、 肩にはダーツがなくなりますが、脇に新しいダーツが開きます。 原型の外周線の一部は変わって見えても、 ダーツを縫い合わせたあとの立体としては、同じ身体の丸みに近づくように作られています。
- 身体の立体を作るための基本的なダーツ量
- バストポイントを中心としたふくらみの考え方
- 原型を閉じたときに作られる基本的な立体
移動すると変わるもの
ダーツ量を保っていても、原型の見え方は大きく変わります。 どこにダーツを置くかによって、縫い目やデザイン線としての印象が変わるためです。
ダーツの方向
肩から入るダーツ、脇から入るダーツ、ウエストから入るダーツでは、 同じ立体量でも見た目はまったく異なります。
外周線の形
ダーツを閉じたり開いたりすると、肩線や脇線、衿ぐりなどの一部が回転します。 そのため、移動後には外周線のつながりを確認し、必要に応じてなだらかに整えます。
デザインとしての見え方
ダーツは、ただフィットさせるための線ではなく、デザインの一部にもなります。 切り替え線へ取り込んだり、ギャザーやタックへ置き換えたりすることもできます。
ダーツを複数に分散することもできる
ひとつの大きなダーツを、肩と脇、脇とウエストなど、 複数の位置へ分けることもできます。
たとえば元のダーツ量を100%とすると、 40%を肩、30%を脇、30%をウエストへ分ける、といった考え方ができます。 合計の立体量を保ちながら、ダーツの見え方を分散できます。
分散
分散
分散
「どこへ移しても同じ」ではない
ダーツ量を保てば基本的な立体は維持できますが、 どこへ移しても着用感や見た目が完全に同じになるわけではありません。
ダーツの方向や長さ、ダーツ先端とバストポイントとの距離、 生地の厚みや張り、地の目、デザインによって、 実際の見え方やなじみ方は変わります。
また、移動後の外周線を整えたときに大きく削ったり足したりすれば、 元の原型とは別の寸法になることもあります。
- ダーツ先端をバストポイントそのものまで縫わない
- 移動後の肩線・脇線・衿ぐりのつながりを確認する
- 大きなダーツは複数へ分散すると扱いやすい場合がある
- 本番前に試作・仮縫いで立体を確認する
KATAPATAでダーツ移動を試す
KATAPATAでは、原型を作成したあと、画面上でダーツ移動を試すことができます。 ダーツの移動先ごとに割合を設定し、 元のダーツを閉じながら複数の位置へ分散することもできます。
数値で配分を変えるだけでなく、移動後の位置を画面上で確認しながら調整できるため、 「どのダーツを閉じると、どこが開くのか」を視覚的に確認できます。
ダーツ移動後は、外周線のつながりやダーツ位置を確認し、 必要に応じて調整してから保存・PDF出力してください。
ダーツを閉じて、別の位置へ動かしてみる。
原型を作成したあと、KATAPATAのダーツ移動画面で立体量が移っていく様子を確認できます。