原型を補正するとは?
自分の身体に合わせるための考え方
寸法から原型を作っても、それだけで必ず身体にぴったり合うとは限りません。 採寸値では表しきれない姿勢や肩の傾き、胸・背中の立体、前後のバランスなどを見ながら、 原型の一部を調整していく作業が「原型の補正」です。 ここでは、デザイン変更とは違う「補正」の考え方と、確認する順番をまとめます。
原型の補正とは
原型の補正とは、作成した基本原型を、自分の身体の特徴により合うよう調整することです。 たとえば、肩先の位置、衿ぐり、アームホール、ダーツ位置、丈の前後差などを見直し、 必要な部分だけを動かしていきます。
目的は、原型を別のデザインへ変えることではありません。 あくまで「自分の身体を基準にした、使いやすい基本原型」に近づけることです。
なぜ寸法だけでは合わないことがある?
バスト、ウエスト、ヒップ、背丈などの採寸値は、原型を作るための大切な情報です。 ただし、同じ寸法でも身体の形は同じとは限りません。
たとえば同じバスト寸法でも、胸の位置や高さ、背中の丸み、肩の前後位置によって、 前身頃と後ろ身頃のバランスは変わります。 同じ背丈でも、姿勢が前傾している人とまっすぐ立つ人では、原型の見え方が変わることがあります。
- 肩が前に出ている、または後ろへ引かれている
- 左右の肩傾斜が異なる
- 胸の位置やボリュームが基準と異なる
- 背中に丸みがある、または反りが強い
- 前後の丈のバランスが合いにくい
- アームホールの位置や深さが身体に合いにくい
こうした特徴は、周径や丈の数値だけでは完全には表せません。 だからこそ、原型を作ったあとに「実際の身体に当てたときどう見えるか」を確認する必要があります。
補正とデザイン変更は別のもの
原型を触るときに混同しやすいのが、「補正」と「デザイン変更」です。 どちらも線を動かしますが、目的が違います。
原型を整える
保存する
服の形へ展開する
補正
肩線を少し動かす、衿ぐりを調整する、前後の丈バランスを直すなど、 身体への合い方を整えるための変更です。
デザイン変更
ゆとりを増やす、丈を長くする、衿や切り替えを作る、ダーツをデザイン線へ移動するなど、 作りたい服の形に変えていく作業です。
補正するときに見るポイント
肩
肩先が身体の肩先と合っているか、肩線の傾きが不自然ではないかを確認します。 肩の位置がずれると、衿ぐりやアームホールの見え方にも影響します。
衿ぐり
首の付け根に対して衿ぐりが浮いていないか、逆に食い込んでいないかを見ます。 前後の衿ぐりは、それぞれ単独ではなく肩線とのつながりも確認します。
アームホール
アームホールが肩や脇に対して適切な位置にあるか、カーブが不自然に折れていないかを確認します。 袖を付ける場合は、身頃側のアームホールと袖山の関係も一緒に見ます。
胸・背中・ダーツ
胸や背中に余分なしわが出ていないか、逆に引っ張られていないかを確認します。 婦人原型では、バストポイントやダーツ位置が身体と合っているかも重要です。
ウエスト・前後丈
ウエストラインが身体のウエスト位置と合っているか、 前身頃だけが上がる、後ろだけが下がるなどの前後差がないかを見ます。
補正はどこから始める?
一度にすべてを動かすと、どの変更がどこへ影響したのか分かりにくくなります。 そのため、補正は大きなバランスから順番に行うのがおすすめです。
大きな位置を確認
ダーツを確認
最後に整える
たとえば肩先の位置を動かすと、アームホールの形も変わります。 先に細かなカーブを完成させてから肩を動かすと、同じ部分をもう一度直すことになる場合があります。
試作・仮縫いで確認する
画面上や紙の原型だけでは、身体へのフィットを完全には判断できません。 本番の布を使う前に、シーチングなどで試作するか、 簡単な仮縫いをして身体に当ててみると、補正箇所が分かりやすくなります。
試作では「きつい・ゆるい」だけでなく、しわの向きも手がかりになります。 どこか一か所へ向かってしわが集まっている場合、その周辺の長さや角度、 立体分量が合っていない可能性があります。
- 肩線が自然な位置に乗っているか
- 前後中心が身体の中心に沿っているか
- 胸や背中に不自然な引きつれがないか
- ウエストラインが水平に近い状態になっているか
- 腕を下ろしたときにアームホール周辺が不自然に引かれないか
補正後は、変更した内容を原型へ反映し、 「自分用の基本原型」として保存しておくと次の服作りで使いやすくなります。
KATAPATAでできる補正
KATAPATAでは、寸法を入力して作成した原型を、 画面上で確認しながら一部の線や調整点を動かすことができます。 レディース原型では、肩・衿ぐり・アームホールなどの調整やダーツ移動、 袖山カーブの微調整などができます。
メンズ原型でも、身頃・袖・パンツを確認しながら調整できます。 また、ものさしツールで任意の点どうしの距離や線・カーブの長さを測り、 補正前後の寸法を確認することもできます。
調整した原型は保存し、あとから再び読み込んで続きを行えます。 一度で完成させようとせず、試作と補正を繰り返しながら、 自分の基準になる原型を作っていく使い方がおすすめです。
作った原型を、自分の身体に近づけていく。
寸法入力から原型作成、画面上での調整、保存、PDF出力まで、KATAPATAの原型作成機能は無料で利用できます。